春の眠気・だるさの正体 〜新生活ストレスとの付き合い方〜
Mar 27, 2026
「年のせい」と片づけていませんか?
「最近、やたら眠い」
「体がだるくてすっきりしない」
「気力がわかない」——
3月から4月にかけて、こうした体の不調を感じる方は少なくありません。
こうした症状を「年だから仕方ない」と片づけてしまいがちですが、実は春特有のメカニズムが深く関わっています。
体の仕組みを知るだけで、日常の過ごし方が少し変わります。
まずは「正体」を把握するところから始めてみましょう。

春の眠気・だるさの正体は「自律神経の乱れ」
自律神経とは、心臓の動きや体温調節、消化など、意識しなくても体を動かし続けてくれる神経のことです。
「活動モード」の交感神経と「休息モード」の副交感神経の2つがバランスをとりながら働いています。
春はこのバランスが崩れやすい季節です。
その理由は主に3つあります。
① 寒暖差による交感神経の過活動
春は日々の気温差が大きく、体が体温を維持しようとして交感神経を頻繁に働かせます。この「緊張状態の連続」がエネルギーを消耗させ、疲れやだるさを引き起こします。
② 気圧の変動と内耳へのストレス
春は低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わる時期です。気圧の変化を耳の奥にある「内耳」が敏感に感知し、その情報が脳に伝わることで、自律神経にストレス反応を引き起こします。
その結果、めまい・頭痛・倦怠感などの症状があらわれやすくなります。
③ 日照時間の変化とホルモンリズムの乱れ
春は日照時間が急激に長くなります。この変化に体内時計がついていけず、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌リズムが乱れやすくなります。
セロトニンは夜になるとメラトニン(睡眠ホルモン)に変わるため、セロトニンが乱れると睡眠の質も低下します。
不安感や気力の低下につながることもあります。
これらが重なった状態は「春バテ」とも呼ばれます。
この言葉はマスメディアなどで広く使われる俗称ですが、その背景にある体の反応(自律神経の乱れ)は医学的に説明できるものです。

50〜70代が特に注意すべき理由
年齢を重ねるにつれ、自律神経の「切り替え力」は少しずつ変化します。
加齢に伴い、40代から50代にかけて交感神経の興奮が強まりやすく、副交感神経(休息モード)が働きにくくなる傾向があることが知られています。
ただしこの変化は徐々に進むものであり、個人差があります。
50〜60代になると、めまい・不眠・動悸など「感覚的な不調」が出やすくなり、60代以降では自律神経の反応性が全体的に鈍化し、慢性的な不調につながりやすくなります。
つまり、春の自律神経への負荷が、若いころより回復しにくくなっているのが、この世代の特徴です。
さらに50〜70代は、春に「新生活ストレス」が重なりやすい年代でもあります。
定年退職・役職の変化・子や孫の進学・引越しなど、「自分の変化」ではなく「周囲の変化」がストレスになることも多いです。
環境が変わると、たとえそれが喜ばしい変化であっても、体は「慣れない状態への適応」に多くのエネルギーを使います。

新生活ストレスとの向き合い方
ストレスは「気持ちの問題」ではなく、体に影響する生理反応です。
以下のサインが2週間以上続く場合は、体からの信号として受け止めることが大切です。
- 朝起きても疲れが取れない
- 以前は楽しめていたことへの関心が薄れた
- 特に理由がないのにイライラする、または気力がわかない
- 夜なかなか眠れない、または朝早く目が覚める
重要なのは、「無理に適応しようとしない」ことです。
「この年齢でこのくらいのことに弱ってはいけない」という自己批判は、むしろストレスを増やします。
「体が正直に反応している」と受けとめ、まずは休める仕組みを日常に取り入れることが助けになります。

今日から取り組める7つの対処法
以下は、信頼性の高い医療機関・公的機関が推奨している日常のセルフケアです。
ひとつから試してみてください。
① 起床後に朝日を浴びる
起きてから1時間以内(できるだけ早いうちに)に、屋外で自然光を15〜30分浴びると、体内時計がリセットされ、セロトニンの分泌が促されます。
夏の強い日差しであれば短時間でも効果が期待できますが、春の日差しが穏やかな時期は、できるだけ15分以上を目安にしましょう。
天気が悪い日や外出が難しい場合はカーテンを開けて光を取り入れるだけでも、何もしないよりは体内時計への働きかけになります。
② 朝食を欠かさない
朝食は、寝ている間に下がった体温を上げ、自律神経を整える大切な役割を持っています。
1日3食、バランスよく食べることを基本にしましょう。
③ 睡眠の質を高める食品を取り入れる
セロトニン・メラトニンの材料となるトリプトファンや、睡眠をサポートするマグネシウム・ビタミンB6を含む食品を意識的に食べましょう。
バナナ・卵・大豆製品・鮭・鯖・キノコ・ほうれん草などが参考になります。

④ 夕方以降のカフェインを控える
コーヒー・緑茶・紅茶などは15時以降を目安に控え、麦茶やハーブティーに切り替えると、夜の睡眠の質が上がりやすくなります。
⑤ ゆっくりした有酸素運動を習慣化する
ウォーキングや軽い水中歩行など、ゆっくり長く続けられる運動が自律神経を安定させます。
週3〜5回、1回30分程度が目安です。急激な運動は逆効果になることもあるため、無理のないペースで。
⑥ 就寝前のスマートフォンを控える
スマートフォンやタブレットの画面から出るブルーライトはメラトニンの分泌を妨げます。
寝る1時間前を目安に画面を遠ざけましょう。

⑦「内関(ないかん)」のツボを活用する
自律神経の乱れやめまいに効くとされるツボです。
手首の内側のしわの中央から、肘方向に指3本分上がった位置、2本の腱(筋)の間にあります。
心地よいと感じる程度の強さで親指を当て、5〜15秒ほど押すことを、こまめに繰り返すのが基本的な使い方です。
強く押しすぎず、押した後に「じんわり」と感じる程度が目安です。

こんな症状が続くときは医療機関へ
セルフケアを続けても以下のような状態が2週間以上続く場合は、かかりつけ医や医療機関にご相談ください。
- 強い倦怠感が続き、日常生活に支障が出る
- 食欲がほとんどない状態が続く
- 動悸・胸の不快感・強いめまいがある
- 気分が沈んで気力が戻らない
「たかが春バテ」と判断を自己完結させず、専門家に状態を伝えることが回復の近道になる場合があります。
まとめ
春の眠気・だるさは、寒暖差・気圧変動・日照時間の変化・環境ストレスが重なって自律神経のバランスが崩れた結果として生じる、医学的に説明できる体の反応です。
50〜70代はもともと自律神経の「回復力」が変化しやすい年代であり、春の負荷をより感じやすい傾向があります。
体のサインを「年のせい」と流さず、朝日・食事・運動・睡眠の小さな積み重ねで、自律神経を整える習慣を作ることが、この季節を楽に過ごす第一歩になります。
【注意事項】
本記事は2026年3月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としており、医療行為ではありません。
特定の疾患の診断・治療を目的とするものではなく、医薬品・治療法の使用を推奨するものでもありません。
体調に不安のある方、症状が続く方は、自己判断せず、かかりつけ医や医療機関にご相談ください。
持病のある方や服薬中の方は、記事内の生活習慣の改善についても、事前に主治医にご確認いただくことをおすすめします。
<健康シリーズ 前回の記事>
春バテを防ぐ!自律神経を整える「朝の3分ストレッチ」
https://link-113a.mykajabi.com/blog/3-7
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