投資目標の立て方 ─ 老後に必要な金額を逆算する
Jan 05, 2026
前回は、月1万円から始めるNISA活用法をご紹介しました。
投資をスタートした方も、これから始める方も、次に大切なのが「投資の目標設定」です。
「なんとなく増えればいいな」という気持ちで投資を始めると、途中で不安になったり、目標が見えずにモチベーションが下がったりすることがあります。
今回は、老後に必要な金額を逆算し、自分に合った投資目標を立てる方法をお伝えします。
明確なゴールを持つことで、投資はもっと効果的になります。

なぜ投資目標が必要なのか?
投資には必ずリスクがあります。
市場が下落したときに「このまま続けていいのか?」と不安になる瞬間が訪れます。
そんなとき、明確な目標があれば
・短期的な変動に惑わされず、長期的な視点で投資を続けられる
・必要な積立金額や運用期間が具体的にわかる
・老後のライフプランに合わせた計画的な資産形成ができる
目標がないと、途中で不安になって売却してしまったり、逆に無理な投資をしてしまったりする可能性があります。

老後に実際かかるお金の目安
まずは、老後の生活で実際にどれくらいのお金が必要になるのかを見ていきましょう。
総務省統計局「家計調査年報(2024年)」によると、65歳以上の無職世帯における月々の消費支出は以下の通りです。
◆夫婦世帯(65歳以上の夫婦のみ世帯)
月々の消費支出:約25.7万円
年間:約308万円
◆単身世帯(65歳以上の一人暮らし)
月々の消費支出:約14.9万円
年間:約179万円
また、生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2025年度)」によると、
最低限の日常生活費:月額平均23.9万円
ゆとりある老後生活費:月額平均39.1万円
となっており、ゆとりある生活には月々約15.2万円の上乗せが必要という結果が出ています。

老後に必要な金額の目安
老後資金を考える際、よく「老後2,000万円問題」が話題になりますが、実際に必要な金額は個人の状況によって異なります。
【計算の考え方】
65歳から90歳まで(25年間)生活すると仮定した場合
◆夫婦世帯の例
月々の支出:25.7万円
年間支出:約308万円
25年間の総支出:約7,700万円
一方、公的年金の受給額(厚生年金 + 基礎年金)は
夫婦合計で月額約23万円程度(※令和6年度の標準的な年金額)
年間:約276万円
25年間:約6,900万円
差額:約800万円
つまり、夫婦世帯の場合、年金以外に約800万円〜1,500万円の準備が目安となります。
※公的年金の受給額は、令和6年度の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)230,483円を基に算出しています。
実際の受給額は個人の加入期間や収入により異なります。
◆単身世帯の例
月々の支出:14.9万円
年間支出:約179万円
25年間の総支出:約4,475万円
公的年金の受給額(国民年金・老齢基礎年金)
満額で月額約6.8万円、実際の平均受給額は月額約5.8万円程度
満額で受給した場合の25年間:約2,040万円
平均受給額の場合の25年間:約1,740万円
差額:約2,400万円〜2,700万円
単身世帯の場合は、約2,000万円〜3,000万円の準備が必要となる可能性があります。
※国民年金の受給額は、令和6年度の老齢基礎年金満額(月額68,000円)と令和5年度末の平均受給額(月額約58,000円)を基に算出しています。
実際の受給額は保険料納付期間により異なります。
※これらはあくまで目安であり、住居費(持ち家か賃貸か)、医療費、介護費用などによって大きく変動します。

今の資産状況から考える「逆算」の考え方
目標金額がわかったら、今の資産状況から逆算して考えてみましょう。
【ステップ1】現在の資産を確認する
・預貯金
・退職金(予定額)
・保険の満期金
・その他の金融資産 など
【ステップ2】不足額を計算する
(目標金額) − (現在の資産 + 今後見込まれる収入) = (不足額)
【ステップ3】投資で補う金額を決める
不足額のすべてを投資で補う必要はありません。
無理のない範囲で、投資で補う金額を設定しましょう。
【シミュレーション例】
現在55歳、65歳までの10年間で400万円を用意したい場合
◆預金のみ(利回り0%)の場合
毎月の積立額:約3.3万円
◆想定年利3%で運用した場合
毎月の積立額:約2.9万円
積立総額:約348万円
運用益:約52万円
このように、運用利回りを活用することで、毎月の負担を軽くしながら目標達成が可能になります。
【活用ツール】
金融庁「つみたてシミュレーター」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/

中高年層の方の投資で大切な考え方
この年代の投資では、「増やす」ことよりも「守りながら少しずつ増やす」ことが重要です。
ポイント1:リスクを抑えた運用を心がける
若い世代と違い、損失を取り戻す時間が限られています。
大きなリターンを狙うより、安定的な運用を優先しましょう。
ポイント2:資産の「守り」と「攻め」のバランスを取る
守り(安全資産):預貯金、個人向け国債など
攻め(リスク資産):投資信託、株式など
一般的に、リスク資産の割合は「100 − 年齢」が目安といわれています。
例:60歳なら、リスク資産40%、安全資産60%
※この目安はあくまで一つの考え方であり、個人のリスク許容度や資産状況により調整が必要です。
ポイント3:生活費の3年分は現金で確保する
急な医療費や介護費用に備えて、すぐに使える現金を確保しておくことが大切です。
ポイント4:分散投資でリスクを下げる
一つの商品に集中投資せず、複数の資産に分散することでリスクを軽減できます。
※出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」、日本証券業協会資料など
投資目標は「途中で見直してよい」
一度立てた目標は、必ずしも最後まで固定する必要はありません。
人生には予期せぬ出来事が起こります。
・健康状態の変化
・家族構成の変化
・経済状況の変化
・生活スタイルの変化
これらの変化に応じて、投資目標や投資方法を見直すことは、むしろ賢明な判断です。
見直しのタイミング
・年に1〜2回、定期的に確認する
・大きなライフイベントがあったとき
・市場環境が大きく変化したとき
柔軟に見直しながら、その時々の自分に合った投資を続けることが、長期的な成功につながります。

まとめ
今回は、老後に必要な金額を逆算する投資目標の立て方をご紹介しました。
【重要なポイント】
1.老後に実際にかかるお金を知る(夫婦:月25.7万円、単身:月14.9万円が目安)
2.老後に必要な金額を計算する(夫婦:800万〜1,500万円、単身:2,000万〜3,000万円が目安)
3.今の資産状況から不足額を逆算する
4.中高年層の方は「守りながら増やす」投資を心がける
5.投資目標は途中で見直してよい
明確な目標を持つことで、投資はもっと計画的で効果的になります。
まずは金融庁のシミュレーターなどを使って、自分に合った投資目標を立ててみましょう。
【投資に関する注意事項】
本記事は投資の基礎知識を学ぶための教育目的のものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を目的としたものではありません。
投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。
実際の投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
<投資シリーズ 前回の記事>
少額投資の第一歩、1万円から始めるNISA活用法
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