種銭を作る方法① ─ 今ある収入を整理して捻出する考え方
Jan 12, 2026
前回は、老後に必要な金額を逆算する「投資目標の立て方」をご紹介しました。
目標が明確になったら、次回は「種銭をどう作るか」が大切です。
「投資を始めたいけど、毎月の余裕がない」
「どこから捻出すればいいのかわからない」
そんな声をよく覚えておいてください。
それでも実は、無理な節約をしなくても、今ある収入の中から「仕組み」を整えるだけで、種銭を確保できる方法があるのです。
今回は、収入を見直して無理なく種銭を作る考え方を伝えます。

種銭確保の基本は「先取り」という仕組み
種銭を作る最も確実な方法、それが「先取り貯蓄」です。
先取り貯蓄とは、給与や年金が振り向いたら、使う前に一定額を別の口座に移す仕組みのこと。
◆なぜ「先取り」が効果的なのか?
人は目の前にお金があると、つい使ってしまうものです。
「今月は余ったら本気よう」と思っても、今月には使い切らなかった経験はありませんか?
先取り貯蓄なら、最初から「なかったもの」として大事にして、無理なく確実に勝っていきます。
◆自動積立で完全自動化
多くの金融機関では、「自動積立定期口座」のサービスを提供しています。
給与日や年金受給日の翌日などに、指定した金額が自動的に別口座へ移動する仕組みです。
・設定すれば、あとは自動で一度貯める
・忘れることがないため、確実に継続できる
・ボーナス月には豊富に設定することも可能

収入の何%を種銭に換えるのが現実的か?
「毎月いくら積み立てればいいのか」は、時代や生活状況によって異なります。
◆理想的な貯蓄率の目安
ファイナンシャルプランナーの中では、以下のような貯蓄率が理想とされています。
【理想的な貯蓄率】
手取り収入の20〜30%
ですが、実際には多くのケースで10〜15%程度の貯蓄率となっているのが現状です。
◆年代別・状況別の現実的な目安
<40代、50代の場合>
理想:手取り収入の20〜30%
最低ライン:手取り収入の10〜15%
例:手取り30万円なら、理想は6〜9万円、最低でも3〜4.5万円
<60代(働いている場合)の場合>
理想:手取り収入の20〜30%
最低ライン:手取り収入の10〜15%
<60代以降(年金生活)の場合>
現実的な目安:年金収入の5〜15%
例:年金20万円なら、1〜3万円
ただし、これはおおよその目安です。
住宅ローンの有無、医療費の状況、家族構成などによって調整が必要です。
◆重要なのは「無理のない金額」から始めること
最初に高い目標を設定すると、生活が苦しくなり、結局続かなくなります。
まずは手取収入の10%、月1〜2万円など、無理のない金額から始めて、慣れてきたら少しずつ20%、30%まで進んでいくのが賢明です。

ボーナスや臨時収入の活用法
毎月の積立に加えて、ボーナスや臨時収入を種銭に換えることも効果的です。
◆ボーナスの配分目安
金融機関の調査によると、ボーナスの配分として一般的なのは以下の割合です。
貯蓄:40〜50%
自分へのご褒美:20〜30%
生活費の補填:10〜20%
その他:残り
例、50万円のボーナスなら
20〜25万円を種銭として確保
10〜15万円は自分へのご褒美や旅行に
残りは生活費や予備費に
「すべて一旦」必要はありません。
適度に楽しみながら、バランスをよく調整することが長続きする秘訣です。
◆臨時収入の考え方
・退職金の一部
・保険の満期金
・遺産相続
・株式の評価金
今回の臨時収入は、「元々なかったお金」と考えて、一部を種銭に換えるチャンスです。
<退職金の一部を種銭にする際の注意点>
退職金を受け取った際、その一部を投資の種銭にすることを考える方も多いでしょう。

◆退職金活用の3つの鉄則
鉄則1:すぐに当面を投資に回さないで
退職金を考えた直後は、気持ちが大きくなりがちです。
金融機関からも様々な商品をお勧めされます。
しかし、一度に大きな金額を投資するのはリスクが高いです。
まずは数年かけて、少しずつ投資していく「時間分散」が基本です。
鉄則2:生活防衛資金を最優先で確保
投資に先回りして、まずは3〜6ヶ月分の生活費を現金・口座で確保しましょう。
【会社員・公務員の場合】
生活防衛資金:生活費の3〜6ヶ月分
例えば、月25万円で生活の場合する
25万円 × 3ヶ月 = 75万円(最低ライン)
25万円 × 6ヶ月 = 150万円(推奨)
【自営業・フリーランスの場合】
生活防衛資金:生活費の6ヶ月〜1年分
例、月25万円で生活する場合
25万円 × 6ヶ月 = 150万円(最低ライン)
25万円 × 12ヶ月 = 300万円(推奨)
この金額は、絶対に手を付けない「安全資産」として確保されます。
【解説】なぜ3〜6ヶ月分なのか?
病気や終わりなどで収入が途絶えない場合、期待保険などの公的支援が始まるまでの期間や、生活を立てるのに必要な期間が一般的に3〜6ヶ月程度とされています。
鉄則3:残りの一部を段階的に投資
生活防衛資金を確保した後、余裕がある資金を回して投資します。
その際も、一度に限りではなく、毎月定額ずつ積み立てていく形が安全です。
例:退職金2,000万円の場合
生活防衛資金:150万円(月25万円×6ヶ月、現金・預金)
予備費:350万円(現金・預金、医療費や住宅修繕など)
投資に使える分:1,500万円
→ 月10万円ずつ、12年半かけて投資
または
→ 月15万円ずつ、8年かけて投資
このように時間をかけて分散投資することで、高い価値づかみのリスクを軽減できます。

自動積立の仕組みを作る3ステップ
具体的には、どのように先取り貯蓄の仕組みを作ればよいのでしょうか。
◆ステップ 1:専用口座を作るために
まず、種銭専用の口座を用意します。
おすすめは
・給与や年金が振り向く銀行の定期口座口座
・証券会社の預り金口座(投資商品を購入時に便利する)
◆ステップ2:自動振替を設定する
銀行の自動積立定期口座や、証券会社の自動入金サービスを利用します。
内容設定
振替日: 給料日や年金受給日の翌日
振替額: 無理のない金額から(月1〜3万円など)
ボーナス月の増額設定(可能な場合)
一度設定すれば、あとは自動で貯めていきます。
◆ステップ3:定期的に書き直し
3ヶ月〜とりあえず一度、積立額が正しくかチェックしましょう。
・生活が苦しくなってないか
・もう少し増やせそうか
・ライフイベントの変化はないか
状況に応じて、積立額を調整することが大切です。

まとめ
今回は、収入を見直して種銭を作る考え方をご紹介しました。
【重要なポイント】
1.先取り貯蓄で「使う前に取り決める」仕組みを
2.理想は手づくり収入の20〜30%、まずは10%から始める
3.ボーナスや臨時収入の40〜50%を種銭に回す
4.退職金は慎重に扱い、生活防衛資金(3〜6ヶ月分)を最優先で確保
5.自動積立で完全自動化、定期的に見直す
無理な節約をしなくても、収益の流れを整えるだけで種銭は確保できます。
まずは金融機関の自動積立サービスを調べて、少額から始めてみましょう。
【投資に関する注意事項】
この記事は投資の基礎知識を学ぶための教育目的のものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を目的としたものではありません。
投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。
実際の投資の判断は、ご自身の責任において行ってください。
<投資シリーズ、前回の記事>
投資目標の立て方 ─ 老後に必要な金額を逆算する
https://link-113a.mykajabi.com/blog/6