少額配当戦略①|月1万円の配当を目指す具体的プラン
Apr 27, 2026
はじめに
「毎月1万円くらい、配当として受け取れたら安心感がある」と考える中高年の方は少なくありません。
ただし、配当を目的に投資を考える場合は、利回りの高さだけで判断するのではなく、税金、受取方法、分散、価格変動への備えまで含めて考えることが大切です。金融庁は、NISAでは売却益だけでなく配当・分配金も非課税の対象になると案内しています。
まずは「月1万円」を年額で考える
配当は、毎月同じ額が入るとは限りません。日本株では年1回や年2回の配当が多く、受取時期も銘柄ごとに異なります。そのため、まずは月1万円=年12万円として考えると、必要元本を逆算しやすくなります。
ここで最初に分けて考えたいのが、「税引前で年12万円」なのか、「手取りで年12万円」なのかです。
上場株式等の配当には、原則として 20.315% の税率がかかります。
NISA口座で非課税受取を目指す場合の計算式
NISA口座で配当を非課税で受け取れる前提なら、必要元本の計算式はシンプルです。
必要元本 = 目標年額 ÷ 想定配当利回り
たとえば、年12万円を年額の目標にする場合、
想定する配当利回り2%なら600万円、
想定する配当利回り3%なら400万円、
想定する配当利回り4%なら300万円が目安です。
計算の考え方は、「1年間に受け取りたい金額」を「想定する配当利回り」で割るだけです。
Excelや電卓では、たとえば想定利回り3%なら「120000÷0.03」と入力すれば求められます。
ただし、金融庁は、NISAで買った株の配当を非課税で受け取るには、受取方法を 株式数比例配分方式 にする必要があると案内しています。銀行口座で受け取る設定などでは、NISA口座で買った株でも配当が課税扱いになる場合があります。制度だけでなく、受取設定まで確認しておくことが大切です。
課税口座で「手取り年12万円」を目指す場合の計算式
課税口座では、配当から税金が差し引かれます。
税引後に残る割合は、1 − 0.20315 = 0.79685 です。
そのため、手取りから逆算する計算式は次の通りです。
必要元本 = 手取り目標年額 ÷(想定配当利回り × 0.79685)
たとえば、手取りで年12万円を目指す場合、
想定する配当利回り2%なら約753万円、
想定する配当利回り3%なら約502万円、
想定する配当利回り4%なら約376万円が目安です。
Excelでは「=120000/(3%*0.79685)」のように入力すると試算できます。
つまり、同じ年12万円を目標にしても、課税口座ではNISAより多くの元本が必要になります。
現実的な進め方
最初から「月1万円」を目標にするより、まずは年3万円、年6万円、年12万円と段階的に考えるほうが現実的です。
たとえば想定する配当利回り3%なら、
年3万円には約100万円、
年6万円には約200万円、
年12万円には約400万円が目安になります。
一度にまとめて買うのではなく、時期を分けて買い進めることで、購入価格の偏りを抑えやすくなります。金融経済教育推進機構(J-FLEC)も、投資は当面使う予定がない資金で行い、長期・分散を意識することが大切だと案内しています。
組み立て方の基本は「分散」
配当戦略では、1銘柄に集中すると、その会社が減配したときに受取額が大きく下がります。そのため、業種の分散、銘柄数の分散、必要に応じてETFの活用を考えることが基本です。
中高年の場合は、配当額だけでなく、値下がり時に持ち続けられるかどうかも大切です。J-FLECは、価格が下がると心配で眠れないようなら、リスクを取りすぎていないか確認すべきだとしています。
利回りだけで選ばない
配当利回りが高く見える銘柄でも、それが株価下落によって一時的に高く見えているだけの場合があります。配当方針、業績、過去の減配の有無などを確認し、「なぜこの利回りなのか」を見ることが大切です。
また、配当を受け取る権利を得るには、権利付最終日(権利確定日の2営業日前)までに株式を買い付けている必要があります。権利落ち日(配当落ち日)以降に買っても、その回の配当を受け取る権利は得られません。買付時期の確認も必要です。
「毎月分配=安心」とは限らない
配当や分配を重視する方が見落としやすいのが、投資信託の分配金です。金融庁は、投資信託の分配金は預貯金の利子とは性質が異なり、元本払戻金(特別分配金) が含まれることがあると説明しています。これは、見かけ上は受け取っていても、自分の元本を取り崩している場合があるということです。毎月分配という言葉だけで判断せず、中身を確認する姿勢が必要です。
計算に使いやすいWEBツール
必要元本の試算は、まず手計算や表計算ソフトで公式を確認し、そのうえでWEBツールを補助的に使うと便利です。
金融庁のつみたてシミュレーター:積立前提の試算に向いています。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/
野村證券のみらい電卓 ~運用編~:元本・利回り・期間の目安確認に使いやすいツールです。
https://www.nomura.co.jp/solution/financial-assets/guidance/simulation/unyou.html
ただし、これらはNISAの受取設定や税制の詳細まで自動反映しない場合があるため、最終的には自分でも公式に当てはめて確認するのが無難です。
まとめ
月1万円の配当を目指すには、まず「年12万円」に置き換え、NISAなら 目標年額 ÷ 想定する利回り、課税口座なら 手取り目標年額 ÷(想定する利回り × 0.79685) で必要元本を考えるのが基本です。
そのうえで、NISAの受取方法(株式数比例配分方式)、税金、分散、買う時期(権利付最終日までの買付)、商品の中身まで確認していくと、配当戦略はより現実的になります。中高年の配当戦略では、高い利回りだけを追うよりも、無理なく続けられる設計にすることのほうが大切です。
【注意事項】
本記事は、一般的な投資情報の提供を目的としたものであり、特定の銘柄、商品、取引手法を推奨するものではありません。投資には価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、配当減額・無配のリスク等があります。NISAや税制の取扱いは、口座設定や受取方法、個別の状況によって異なる場合があります。実際の投資判断にあたっては、最新の公式資料や契約締結前交付書面等を確認し、必要に応じて金融機関や税理士等の専門家へご相談ください。
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