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ステーブルコインとは何か? ビットコインとどう違う? 初心者向けにやさしく整理

投資 Jun 22, 2026

はじめに:「暗号資産」と聞いてもピンとこない方へ

「ビットコインは聞いたことがあるけれど、ステーブルコインって何だろう?」
そんな疑問を抱えている中高年の方は少なくないはずです。
近年、金融ニュースや経済番組でも「ステーブルコイン」という言葉を目にする機会が増えてきました。

今回は、ステーブルコインの基本的な仕組みと、よく知られているビットコインとの違いを、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。さらに「実際にどんな場面で使われているのか」「ドル建て資産と何が違うのか」という実践的な疑問にもお答えします。「投資の世界」の入り口として、ぜひ参考にしてください。


そもそも「ステーブルコイン」とは何か?

ステーブルコインとは、米ドルや日本円などの法定通貨に価格を連動させるように設計されたデジタル通貨の一種です。「ステーブル(Stable)」には「安定した」という意味があり、その名のとおり価格が大きく変動しにくいように作られています。

多くのステーブルコインは、1コイン=1米ドル、あるいは1コイン=1円という形で、発行体が同額の法定通貨や安全な資産を準備金として保有することで、価値の安定を保っています。インターネット上で24時間365日、低コストで送金・決済ができる点が大きな特徴です。

現時点(2026年6月時点)のステーブルコイン市場全体の規模は約3,200億ドル(約50兆円超)にまで拡大しており、世界中で急速に活用が広がっています。


代表的なステーブルコインを知っておこう

ステーブルコインにはいくつかの種類があります。まず代表的な銘柄を簡単に整理しておきましょう。

USDT(テザー)
世界最大の流通量を誇る米ドル連動型。Tether社が発行し、時価総額は約1,873億ドル(2025年12月時点)。世界中のほぼすべての暗号資産取引所で利用できる。

USDC(USDコイン)
米ドル連動型。Circle社が発行し、大手会計事務所による月次の準備金証明を公開するなど透明性の高さが特徴。時価総額は約760億ドル(2025年12月時点)。国内ではSBI VCトレードで取り扱いがある。

JPYC(ジェーピーワイシー)
日本円連動型。JPYC株式会社が発行する、国内初の登録済み円建てステーブルコイン。2025年8月に金融庁(関東財務局)へ資金移動業者として登録し、同年10月27日より正式発行を開始。1円から利用可能で、為替リスクがない点が特徴。

DAI(ダイ)
米ドル連動型。特定の企業ではなく、MakerDAOというブロックチェーン上の自律的な組織が管理する分散型ステーブルコイン。イーサリアムなどを担保として発行される。国内ではbitFlyer・bitbankなどで取り扱いがある(GMOコインは2026年6月に取り扱いを廃止)。

PAXG(パックスゴールド)
金(ゴールド)の価格に連動した商品担保型。1PAXGが金1トロイオンス(約31グラム)と等価になるよう設計されており、Paxos社が実物の金を保管して裏付けている。米ドルではなく金価格に連動するため、厳密には「価格が一定」のコインではなく、デジタルで金を保有する手段に近い。


ビットコインとステーブルコインの違いを整理しよう

ビットコインとステーブルコインは、どちらも「暗号資産(仮想通貨)」と呼ばれるデジタル資産の仲間ですが、その性質は大きく異なります。以下のポイントで整理してみましょう。

① 価格の安定性が根本的に違う
ビットコインは、需要と供給によって価格が毎日大きく変動します。過去には1日で10〜20%以上動くこともあり、大きな利益を得られる可能性がある一方で、資産が大幅に減少するリスクも伴います。
一方、ステーブルコインは価格の安定を最優先に設計されています。米ドル連動型であれば「1コイン≒1ドル」の価値が常に維持されるよう管理されており、価格が極端に上下することはほとんどありません。

② 使われる目的が異なる
ビットコインは、長期的な価値の保存や投資対象として保有されることが多く、「デジタルゴールド」と呼ばれることもあります。発行上限が2,100万枚と決まっており、希少性があることが価値の根拠の一つです。
ステーブルコインは、日常的な決済・送金や取引の仲介など、「使う」ことを目的として設計されています。

③ 発行の仕組みが異なる
ビットコインは、中央管理者が存在しない分散型の仕組みで発行されます。世界中のコンピューターがネットワークを維持し、新たなコインは「マイニング(採掘)」という計算処理によって生まれます。
ステーブルコインは、多くの場合、企業や金融機関が発行体となり、準備金を管理しながら発行・償還を行います。中央管理型の構造を持つものが多く、発行体の信頼性が価値の安定に直結します。


ステーブルコインはどんな場面で使われるのか?

ステーブルコインの役割を理解するうえで、具体的な活用シーンを知っておくと、より実感が持ちやすくなります。

① ビットコインなどの「避難場所」として使う
例えば、ビットコインを保有している方が「そろそろ価格が下がりそうだ」と感じたとき、すぐに日本円に換金すると取引所の手数料や手続きの手間がかかります。
そこで「ビットコイン → USDT(ステーブルコイン)」に交換することで、価格変動リスクを一時的に回避しながら、暗号資産の世界に資産を留めておくことができます。相場が落ち着いたタイミングで再びビットコインや他の暗号資産に戻す、という使い方が世界中のトレーダーの間で一般的です。

② 日本円に換金する「中継地点」として使う
ビットコインやイーサリアムを直接日本円に換金する場合、取引所によっては取引ペアの関係上、一度ステーブルコインを経由する方が手数料や手続き面で有利なケースがあります。
「BTC(ビットコイン)→ USDT → 日本円」という順番で換金するイメージです。特に複数の暗号資産を管理している場合、ステーブルコインがハブ(中継点)の役割を果たします。

③ 海外送金・国際決済の手段として使う
銀行経由の国際送金は手数料が高く、着金まで数日かかることがあります。ステーブルコインを使えば数円〜数十円程度の手数料で、数分以内に世界中へ送金が完了します。海外在住のご家族への仕送りや、海外との取引における支払い手段として、特に新興国を中心に急速に普及しています。


「ドル建て資産」と何が違うのか? 外貨預金との比較

USDTやUSDCは1コイン≒1米ドルで連動しているため、「実質的にドル建て資産と同じではないか?」という疑問を持つ方は多くいます。基本的な考え方としてはドル建て資産に近いといえますが、外貨預金とはいくつか重要な違いがあります。

<同じと考えてよい点>
円安が進めば、USDTやUSDCを円換算した価値は上がります。逆に円高になれば円換算の価値は下がります。為替の影響をそのまま受けるという意味では、外貨預金や外貨MMFなどのドル建て資産と実質的に同じ動きをします。ドル資産として分散保有したい場合の一つの手段として活用できる点も似ています。

<外貨預金と異なる点・注意すべき点>
まず、預金保険制度(ペイオフ)の対象外である点は非常に重要です。
銀行の円預金は1金融機関あたり元本1,000万円とその利息までペイオフで保護されますが、外貨預金はその対象外です。そしてステーブルコインは外貨預金でもないため、同様の保護制度は一切ありません。

次に、発行体リスクがある点も外貨預金とは根本的に異なります。
外貨預金は銀行に預けた現金ですが、ステーブルコインはあくまで「1ドルと交換できる」という発行体の約束に基づいたデジタル資産です。発行体が経営破綻したり、準備金が不足した場合には価値を失うリスクがあります。

また、保有しているだけでは利息がつかない点も違います。
外貨預金には金利が適用されますが、ステーブルコインを単に保有しているだけでは原則として利息は発生しません。

さらに、日本の税務上の取り扱いも異なります。
国税庁の方針によれば、暗号資産の売却や交換で生じた利益は原則として「雑所得」に区分され、総合課税の対象となります(事業所得等に付随する場合を除く)。外貨預金の為替差益とは税務上の計算方法が異なるため、取引を行った場合は確定申告が必要になるケースがあります。税務上の取り扱いについては、必ず税理士や専門家にご相談ください。


日本でのステーブルコインの状況

日本でも、ステーブルコインに関する法整備が着実に進んでいます。2023年6月に改正資金決済法が施行され、ステーブルコインが「電子決済手段」として法的に位置づけられました。これにより、銀行・信託会社・資金移動業者が一定の条件のもとでステーブルコインを発行できる枠組みが整いました。

日本円に連動したステーブルコインとして、JPYC株式会社が2025年8月に金融庁(関東財務局)へ資金移動業者として登録し、同年10月27日より「JPYC(ジェーピーワイシー)」の発行を正式に開始しました。国内資金移動業者としては初の円建てステーブルコインです。1円から即時送金が可能で、当面は手数料も無料とされています。為替リスクがない点も、中高年の方にとっては安心材料の一つといえるでしょう。


ステーブルコインのメリットと注意すべきリスク

ステーブルコインには、次のようなメリットがあります。
価格変動が少なく安定して保有できること、銀行を介さずに低コストで国際送金や決済ができること、暗号資産取引における価格変動リスクの一時回避手段として使えること、そして24時間365日いつでも利用できる点です。

一方で、しっかりと理解しておくべきリスクも存在します。

第一に、発行体リスクがあります。
発行している企業や機関が経営破綻したり、準備金が不足していたりした場合、保有しているステーブルコインの価値が毀損する可能性があります。2023年に米国のシリコンバレー銀行が破綻した際、USDCの価値が一時的に大きく下落した事例がその典型です(複数の情報源によれば、最安値は0.87ドル前後〜0.815ドル程度と報告されています)。

第二に、準備金の透明性リスクがあります。
発行体が実際に十分な担保を保有しているかどうかは、外部から完全には確認しにくい場合があります。信頼性の高い発行体を選ぶことが重要です。

第三に、法規制の変更リスクがあります。
暗号資産に関する規制は国や地域によって異なり、今後変更される可能性もあります。規制の変化によって利用環境が大きく変わることがあります。


まとめ

今回の内容を整理すると、以下のとおりです。

- ステーブルコインは、米ドルや日本円・金などに価値を連動させた価格安定型のデジタル通貨で、決済・送金・取引の仲介などに活用されています。代表的な銘柄として、USDT・USDC(米ドル連動)、JPYC(円連動)、DAI(分散型・米ドル連動)、PAXG(金連動)などがあります。
- ビットコインは価格変動が大きく投資・価値保存向きであるのに対し、ステーブルコインは価格安定を重視した「使うための通貨」として設計されています。
- 具体的な使われ方としては、暗号資産取引における「避難場所」、日本円換金の「中継地点」、低コストの「海外送金手段」などがあります。
- USDTやUSDCは実質的にドル建て資産に近い動きをしますが、外貨預金とは異なり預金保険の対象外であること、発行体リスクがあること、利息がつかないこと、税務上の取り扱いが異なることなど、重要な違いがあります。
- 日本でも法整備が進み、円建てのステーブルコイン(JPYC)が正式に発行されるなど、身近な存在になりつつあります。
- 利便性が高い一方で、発行体リスク・透明性リスク・規制変更リスクといった注意点もあります。

投資の世界を理解するうえで、ステーブルコインはその入り口として非常に重要なキーワードです。
まずは仕組みと特徴を正しく理解することから始めましょう。


【注意事項】
本記事は、投資や金融に関する基礎的な情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品・暗号資産・ステーブルコインへの投資を勧誘・推奨するものではありません。

暗号資産(仮想通貨)およびステーブルコインへの投資・購入にはリスクが伴います。価格の変動、発行体の経営状況、法規制の変更などにより、投資元本を下回る損失が生じる可能性があります。

投資判断はご自身の責任において行ってください。具体的な投資・運用については、金融商品取引業者や税理士・ファイナンシャルプランナーなど、資格を持つ専門家にご相談されることをお勧めします。

本記事に記載の数値・情報は、執筆時点(2026年6月)における公開情報をもとにしておりますが、市場環境・規制動向の変化により、最新の状況と異なる場合があります。特に暗号資産取引所における取り扱い銘柄は随時変更されますので、最新情報は各取引所の公式サイトにてご確認ください。税務上の取り扱いについても、法改正等により変更される可能性がありますので、最新情報は国税庁や専門家にご確認ください。最終的な情報は各発行体・金融機関・金融庁等の公式情報をご確認ください。


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