新NISAとiDeCo、40代〜70代はどちらを優先すべき? 目的別に考える使い分け
Jun 15, 2026
はじめに
「新NISAとiDeCo、どちらを使えばいいの?」
という疑問は、投資を始めようとする中高年の方から特によく聞かれます。
どちらも国が用意した税制優遇制度ですが、仕組みや目的が異なります。
自分の年齢や状況に合わせて正しく使い分けることで、資産形成の効率は大きく変わります。
この記事では、それぞれの制度の基本を整理したうえで、目的別・年代別の考え方をわかりやすく紹介します。
まず「新NISA」と「iDeCo」の違いを整理しよう
新NISAの基本
新NISAは、2024年1月からスタートした非課税投資制度です。株式や投資信託などで得た利益(売却益・配当など)が、非課税で受け取れる点が最大のメリットです。
主な制度内容は以下のとおりです。
- 年間投資枠:つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円の合計360万円まで投資可能です。
- 生涯の非課税保有限度額:1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)。
- 非課税保有期間:無期限(売却すれば翌年以降に枠が復活する仕組み)。
- 引き出しの自由度:いつでも売却・引き出しができます。
- 対象商品:つみたて投資枠は金融庁が認定した一定の投資信託・ETF、成長投資枠は上場株式・投資信託など幅広い商品が対象です。
新NISAの特長は、「いつでも引き出せる柔軟性」と「制度が恒久化されていること」 です。老後資金に限らず、住宅購入の頭金や教育費など、さまざまな目的に使える点が強みです。
iDeCoの基本
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛け金を積み立てて運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。老後資金の形成に特化した制度で、税制上の優遇が3段階あります。
- 積立時:掛け金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。所得税と住民税が軽減されます。
- 運用時:運用益は非課税です。
- 受取時:一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されます。
掛け金の上限額(月額)は職業・状況によって異なります。
- 自営業者など(国民年金第1号被保険者):月額68,000円
- 企業年金のない会社員:月額23,000円
- 企業年金のある会社員:最大月額20,000円(企業年金の種類・加入状況により異なります)
∟ 企業型DC(確定拠出年金)のみ加入の場合:月額20,000円(2024年12月の法改正による変更なし)
∟ DB(確定給付企業年金)のみ、またはDB+DC両方に加入している場合:最大月額20,000円(2024年12月の法改正前は月額12,000円)
- 公務員:月額20,000円(2024年12月の法改正前は月額12,000円)
- 専業主婦(夫)など:月額23,000円
なお、2026年12月には制度改正が予定されており、加入可能年齢の上限が現行の65歳から70歳未満に引き上げられる見込みです。
また、拠出限度額については、iDeCoと企業年金を合わせた共通上限枠が月額62,000円に引き上げられる予定です。企業年金のない会社員の場合はiDeCoのみで月額62,000円まで拠出できるようになりますが、企業年金がある会社員・公務員は企業年金の掛け金分を差し引いた額がiDeCoの実際の限度額となるため、個人の状況によって拠出できる金額は異なります(施行は2026年12月予定)。
iDeCoの最大のデメリットは、原則60歳まで引き出せない「拘束性」です。途中解約はできず、60歳以降にしか受け取れません。
2つの制度、決定的な違いは「引き出しの自由度」と「節税タイミング」
2つの制度の違いを、最も重要な視点で比較すると、以下のようにまとめられます。

新NISAは「使いたいときに使える資産」を作る制度、iDeCoは「60歳以降のための老後資金」を税制優遇付きで積み立てる制度、と理解するとわかりやすいでしょう。
年代別・目的別の使い分けの考え方
40代:両方を積極的に活用できる年代
40代はiDeCoを始めても、60歳まで20年近くの積立期間があります。掛け金が全額所得控除になるiDeCoの節税メリットは、現役として収入がある期間が長いほど大きくなります。まずiDeCoで毎月の節税を確保しつつ、新NISAで中長期の資産形成を進めるのが基本的な考え方です。住宅ローンの繰り上げ返済や教育費など、まとまった支出が見込まれる場合は、自由に引き出せる新NISAの比重を高めるとよいでしょう。
50代:iDeCoの節税効果を活かす「ラストスパート」の時期
50代は現役収入がある期間としてiDeCoの所得控除が最も効果的に働く年代です。収入が高い方ほど税率が高くなるため、iDeCoによる節税額も大きくなります。一方で、60歳に近づくにつれてiDeCoの積立期間は短くなるため、老後資金として確保したい金額を逆算して、無理のない範囲で掛け金を設定しましょう。また、60歳以降の資産として使いたいお金は新NISAの成長投資枠に回す選択肢も有効です。引き出し制限がない分、万が一の際にも対応できます。
60代:受け取り方を意識しながら「新NISA優先」が基本
60代になると、iDeCoは受け取り可能な年齢(60歳〜75歳の間で選択)に入ります。すでにiDeCoに加入していた方はこの時期の受け取り戦略が重要になります。iDeCoをいつ、どのように受け取るかは、退職金の受け取り時期や公的年金の受給開始時期との兼ね合いで節税効果が変わります。専門家(ファイナンシャルプランナーなど)への相談も選択肢のひとつです。
これからiDeCoを始める場合、現行制度では65歳未満まで(2026年12月の改正後は70歳未満まで)加入が可能ですが、積立期間が短くなる点は認識しておきましょう。一方、新NISAは年齢上限がなく、少額からでも始められるため、60代以降は新NISAを主軸に据えつつ、iDeCoの受取戦略を並行して考えるのが自然なアプローチです。
70代:新NISAで「使いながら増やす」発想へ
70代になると、iDeCoの受け取りはすでに開始しているか、まもなく開始するタイミングです(受取期限は75歳まで)。これからiDeCoに新規加入することは、現行制度では65歳が上限のため基本的にできません(2026年12月改正後は70歳未満まで加入可能になる予定)。
新NISAは年齢制限がないため、70代でも引き続き利用できます。「大きく増やすこと」より「資産を守りながら活用する」ことを優先し、リスクの低い商品(バランス型ファンドなど)でこつこつ積み立てることも可能です。取り崩しながら運用するという発想も、中高年の資産活用において大切な視点です。
まとめ
新NISAとiDeCoは、どちらが優れているというものではなく、目的と状況に応じて組み合わせるものです。それぞれの特徴を整理すると以下のようになります。
⚫︎新NISA
いつでも引き出せる柔軟性が強み。幅広い目的に対応できる。年齢を問わず活用できる。
⚫︎iDeCo
積立時の所得控除で現役世代の節税に直結する。ただし60歳まで引き出せないことが前提。
中高年の方が今から始めるなら、まず新NISAで少額からでも投資の第一歩を踏み出すことをおすすめします。そのうえで、収入がある方はiDeCoの節税効果も積極的に検討してみてください。どちらの制度も、正しく活用すれば老後の資産形成に大きな力となります。
【注意事項】
- 本記事は、投資・税制に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を勧めるものではありません。
- 本記事に記載の制度内容・数値は、2025年6月時点の情報をもとに作成しています。税制や制度の詳細は法改正等によって変更される場合があります。最新情報は金融庁・厚生労働省・国税庁等の公的機関、または各金融機関の公式情報をご確認ください。
- 投資にはリスクが伴い、元本が保証されるものではありません。運用成果によっては、投資した金額を下回る可能性があります。
- iDeCoの掛け金の上限額は職業・勤務先の年金制度の加入状況等によって異なります。詳細はご加入の金融機関や企業担当部署にご確認ください。
- 税制上の優遇措置の効果は、個人の収入・課税状況・控除の状況等によって異なります。具体的な税務上の判断については、税理士やファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。
- 本記事は情報提供のみを目的としており、いかなる損害・損失が生じた場合も、当ブログは一切の責任を負いかねます。
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